思春期以降の男性において、前頭部の生え際の両サイドがM字のようになったり、頭頂部がカッパのお皿の様に薄くなる脱毛症をAGA(男性型脱毛症)と呼びますが、この脱毛症は医療機関において治療が可能な脱毛症であるということはテレビのコマーシャルなどを通じてかなり知られるようになってきています。
そんなAGAの治療ですが、基本となるのは米国メルク社が開発し日本ではMSD株式会社が販売しているフィナステリド錠のプロペシアの服用が基本となります。
プロペシアはフィナステリドを有効成分としていますが、これはノコギリヤシという植物の薬効成分から作られた化学合成成分で、5α還元酵素の働きを阻害する効果があります。
5α還元酵素とは、テストステロンをAGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)に変化させる還元酵素で、フィナステリドはこの5α還元酵素の働きを阻害するのでDHTの生成が抑制され、結果的に抜け毛が減少し今まで抜けていた髪が太く長く成長するので薄毛が改善していくというものになります。
このフィナステリドの効果は非常に高く、国内の臨床試験においてはプロペシア1mgの投与によって1年間で58%、2年間で68%、3年間で78%の改善効果が認められていて、1年間で40%、2年間で31%、3年間で20%の現状維持効果も含めれば98%もの効果が期待出来る薬になっています。
そんなAGAの治療薬プロペシアのジェネリック医薬品としてファイザー株式会社から2015年にフィナステリド錠0.2mg「ファイザー」とフィナステリド錠1mg「ファイザー」が発表され、ファイザー公式サイト上で2015年4月6日に販売と発表されました。
プロペシアの特許期間が過ぎたことでこの様なジェネリックが販売されるようになったのですが、フィナステリドファイザーを使用するのはプロペシアと比べて問題があるのかどうかです。
フィナステリド錠0.2mg「ファイザー」もフィナステリド錠1mg「ファイザー」もメルク社のプロペシアと同様のフィナステリド含有量となっていますので、作用や副作用に関してもほぼ変わりはなく違和感なくプロペシアから移行することが可能になっています。
フィナステリドファイザーの特徴としては、間違って飲んでしまうなどの危険がないように読みやすさを追求したフォント(つたわるフォント)が使用されていたり、規格の選択ミスを防ぐ工夫がなされていたり、PTPシートにおいても識別性が向上しています。
未成年者が服用できない薬ですし、男性のみで女性は服用できない薬になっているので、こういった後発品ならではの特徴によってさらに安全に使用することが可能になったと言えます。
ファイザー株式会社の販売したフィナステリド錠0.2mg「ファイザー」とフィナステリド錠1mg「ファイザー」の登場によって、プロペシア1択であった事から選択の幅が生まれたのは使用者にとってはかなりのメリットです。
やはり先発薬であるメルク社のプロペシアが良いという人も当然いるでしょうし、この治療は長期的に服用し続ける必要が有るということからもランニングコストを下げるためにファイザー株式会社のフィナステリドファイザーを選びたいという人もいるでしょうし、なかなかどちらかでは効果が出ないという人でも、薬を変更することによって効果を実感することが出来るというケースも大いに考えられるからです。
今後もフィナステリド錠のジェネリックが販売される可能性もあるでしょうし、少なくともフィナステリドファイザーの登場でAGA治療のハードルはさらに下がり、より手軽に始めることが出来るようになったと言えます。